第57章

 屋敷へ戻った亀之助は、心身ともに疲れ切っていた。頭の中を占めているのは、会社の危機――それだけだ。

 靜美が駆け寄り、亀之助の背後を覗き込む。そこに誰もいないのを見て、眉をひそめた。

「梨紗を家に呼んで一緒に住ませなさいって言ったでしょう。どうして連れてこなかったの? 来てないじゃない」

「お前、自分が何言ったか分かってるのか」亀之助は不機嫌に吐き捨てる。「梨紗が戻ってくるわけないだろ」

「だって、私も頭に血が上ってたのよ。リリアがあんなこと言うから、つい……はぁ……!」

「今さら言ってどうなる。明日、梨紗に電話しろ。ちゃんと謝れ。そうすりゃ、許してくれるかもしれん」

「うん、...

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