第65章

「圭也のことはあなたが気を回す必要はないわ。それより康之の心配でもしたらどう? この前また婚約間近だって聞いたもの。小岩家のお嬢さんと」

光希が鼻で笑いながら言った。

麻紀子は一瞬だけ表情を曇らせたが、すぐに笑みを取り繕う。

「そんな話はありませんわ。康之がその方と少しお付き合いしていただけです」

「もういい。康之の顔も見たし、わしは大丈夫だ。帰りなさい」

四之助が話を打ち切るように言った。

「はい。ではお父さま、どうかお身体をお大事に。康之はわたくしが連れて帰ります」

目的は果たした。麻紀子はそれ以上この場にいるつもりもなく、康之の腕を引いて病室を出た。

だが、そのまま立ち...

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