第71章

圭也の顔の笑みが、ほんの一瞬だけ固まった。けれどすぐにいつもの調子へ戻る。

『そうだけど。どうした?』

『この名前……なんだか、すごく聞き覚えがある』

そう言いながら梨紗がスマホを手に取った、その瞬間――圭也の手がすっと伸びて、画面ごと押さえつけた。

『俺、着替えてくる。お前はここに座って待ってろ。スマホいじるの禁止。ちゃんと俺の試合見ろよ。サボって見ないの防止で、スマホは一旦没収』

梨紗が反応する間もなく、圭也は彼女のスマホを持ったまま更衣室へ向かってしまう。

梨紗が「え?」と我に返った頃には、もう背中は遠かった。

「……ほんと、強引なんだから」

額に手を当ててため息。スマ...

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