第80章

「まだ帰ってなかったの?」梨紗が訊いた。

「君が出かけるって読んでたからさ。専属ドライバーになってあげようと思って」圭也が笑う。

「私、自分で運転して行けるよ。病院だって、まだ仕事あるでしょ。私ひとりで大丈夫」

圭也は拒む隙も与えずに助手席のドアを開け、からかうような口調で言った。

「病院は確かに忙しい。でも君も俺の患者だろ。診療費、たっぷり払ってくれてるし。主治医として、ちゃんと面倒を見るのは当然」

梨紗は思わず白い目を向けた。看護師に適当に返しただけの言葉を、圭也はしっかり覚えていて、これで二度目の嫌味だ。

圭也の押しの強さに負け、梨紗は結局、彼の車に乗り込んだ。

行き先を...

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