第81章

角田夫婦の痛ましげな顔を見て、梨紗は堪えきれず目の奥が熱くなった。

自分があんな目に遭っても、涙を流してくれる『家族』は一人もいなかった。それどころか、かつて家族だと思っていた連中は、梨紗がタイで死んでくれればいいとさえ願っていたのだ。

感情が波立ち、手を上げて涙を拭おうとした、その瞬間――圭也のほうが先に手を伸ばし、そっと梨紗の目尻を拭った。

梨紗が顔を向けると、圭也は痛みを堪えるような目でこちらを見つめていた。目尻が、わずかに赤い。

「……あなたが傷つく理由、あるの?」

梨紗が小さく問う。

「悔いてるんだ。もっと早く、お前のそばにいられたなら……お前はあんな目に遭わずに済んだ...

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