第92章

薄暗い灯りの下、抱き合って唇を重ねる二人は、世界のすべてを忘れてしまったかのようだった。今この瞬間、目に映るのも、触れているのも、互いだけ。

唇が離れたあとも、圭也の瞳には名残が揺れていた。

圭也は梨紗の頬をそっと両手で包み込み、熱を帯びた声で言う。

『俺、竹原圭也はここに誓う。この先の人生、絶対に小岩梨紗を裏切らない。もし破ったら――』

梨紗は慌てて手を伸ばし、圭也の口を塞いだ。小さく首を振る。

『そういう誓い、聞きたくない。本当に私を大事にするなら……言葉じゃなくて、行動で証明して』

それから、少しだけ唇を尖らせる。

『それとね。小岩って苗字、好きじゃない。あれ、私の本当の...

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