第93章

梨紗は自然に目が覚めた。反射的に起き上がって欠伸をしかけた、その瞬間――視界の端に、部屋の椅子へ腰掛けている圭也が映り、驚いて欠伸を飲み込む。

『なんでここにいるの……まさか、昨日の夜、帰ってないの?!』

梨紗は思わず布団を跳ね上げ、自分の服がきちんと着たままだと確認して、ようやく胸を撫で下ろした。

その仕草に気づいた圭也は、呆れたように首を振り、立ち上がる。

『今入ったところ。君が起きたら、婚姻届の手続きに行こうと思って』

『……だったら部屋で待たなくてもいいでしょ』

『見張ってないと。後悔して逃げられたら困る』

圭也は笑って言う。

梨紗は唇を尖らせ、それ以上は相手にしなか...

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