第22章

九条瑞希は顔をこわばらせ、驚きのあまり言葉を失った。

「あなた――」

エイズに感染して、しかも発症しているのに。外に出て、そんなことをするなんて。

殴り殺されるのが怖くないの?

九条直哉は老いた顔を真っ赤にする。

「美琴! 何をでたらめを! お嬢様らしさはどこへ行った!」

九条美琴は冷ややかに一瞥した。

「それ、かわいい末娘が先に聞いたことですけど」

なんでまた、私が叱られなきゃいけないの。

瑞希が答えないのを見て、美琴は薄く笑い、自分から説明する。

「昔からの得意先を頼ったの。つまり、元カレ。今は――妹の婚約者候補」

目の前の数人の顔色がさっと変わるのを眺め、彼女はわ...

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