第620章けんか

セラフィナには、ダシールの言いたいことが痛いほど分かった。

彼は職場で冷静さを失うことは滅多にないが、規則にはめっぽう厳しかった。ミスをしたり、問題を起こしたりした者には容赦がない。

どうやらダフネは重要なデータを紛失してしまい、パニックに陥っているらしかった。

「分かったわ。私のパソコン、使っていいわよ」とセラフィナは言った。

ダフネは慌てて礼を言うと、すぐに折り返し電話をかけてきてパスワードを尋ねた。セラフィナは思いつくものをいくつか試したが、どれも弾かれてしまい途方に暮れる。一方、ダフネは電話の向こうで半泣きだ。どうしてパスワードが違うのか、セラフィナには皆目見当もつかなかった。...

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