第104章 須藤寧音はやはり本気で離婚する気などない

「バンッ!」

弾丸が空気を裂き、砕け散ったフロントガラスを貫いて、死の気配をまとったまま須藤寧音の眉間へ一直線に迫る。

――来る。

そう思った瞬間。

立花徹は全身の力を振り絞り、電光石火で身体を捻った。まるで分厚い壁のように背中を差し出し、須藤寧音を完全に覆い隠す。

彼は彼女を座席へ押しつけ、血肉の盾となって、その致命の一発を受け止めた。

「……っ」

須藤寧音の頭上で、押し殺した呻きが落ちる。

次の瞬間、温かく粘つくものが、薄いシャツを一気に染み抜いた。赤が広がり、熱い滴となって須藤寧音の手の甲へ落ちる。

血。

立花徹の血。

須藤寧音の瞳孔が、ぱっと開く。思考が真っ白に...

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