第107章 流産した、子宮を切除する

星市第一病院、救急処置室の前。

鼻を刺す消毒液の匂いが廊下に満ちていた。照明は惨白で、温度というものがない。古川寒弥の長身の影だけが不自然に引き伸ばされ、ひどく孤独で、冷え切って見えた。

全身ずぶ濡れだった。高級なスーツには雨と泥、それから須藤寧音の血がこびりつき、みっともないほど惨めだ。いつもなら泰然として冷たいほどの男の顔が、いまは見たこともない混乱と恐怖で歪んでいる。

「寒弥」

北野言志が足早に駆けつけ、その背後に険しい表情の医師が続いた。北野は硬直した肩を叩き、低い声で言う。

「産婦人科の長島医長を呼んだ。この分野の権威だ。心配しすぎるな、状況はもう伝えてある」

古川寒弥...

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