第115章 須藤寧音は録音した

レストランは、惨憺たる有様だった。

高価な食器の破片と、冷えきった料理の残骸が床一面に散らばっている。――まるで、いまの彼女の人生そのもの。粉々で、拾い集めようもない。

坂東彩は半ば泣きそうな顔で、西川星奈を床から引き起こした。口は止まらない。須藤寧音への罵詈雑言を吐き散らしながら、娘の肩を掴んで揺さぶる。

けれど西川星奈は、魂の抜けた人形みたいに虚ろな目をして、ただ引きずられるままだった。

――もう、終わりだ。

古川寒弥が最後に向けてきたあの一瞥は、怒りでも嫌悪でもない。

骨の髄まで冷え切るほどの、氷のような無関心。

泣こうが喚こうが、もう彼の心に波紋ひとつ立たない。

その...

ログインして続きを読む