第118章 小寺蘭が行方不明になった

北野言志が薬を手に、息を切らして戻ってきたとき――迎えたのは、開け放たれた部屋のドアと、乱れたベッドだけだった。

掛け布団はめくり上げられ、ぐしゃりと丸まっている。枕元には、小寺蘭のものと思しき片方のスリッパが落ちていた。

――小寺蘭が、いない。

いつもなら揺れないはずの心臓が、初めて拍子を狂わせた。胸の内側を狂ったように叩き、息が詰まるほどの恐怖が込み上げる。

北野は部屋へ飛び込み、視線を角という角へ走らせた。争った形跡はない。あるのは、こじ開けられた錠前と、半分だけ開いた裏窓。

窓の外には、底なしの夕闇と、濃く生い茂る山林。

「小寺蘭!」

北野は窓に身を乗り出し、怯えた叫び...

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