第134章 お願い、置いていかないで

北区のとある廃港。

夜の帳に紛れ、プライベートジェットのエンジンが低く唸りを上げていた。

滑走路の端に漆黒のセダンがぴたりと停まる。ドアが開き、助手に支えられた西川星奈が、迷いなく外へ降り立った。足首には包帯が巻かれている。それでも、彼女の所作に揺らぎはない。

「西川嬢。レオンさんはすでにK国でお待ちです」

黒いスーツの大男が歩み寄る。表情は石のように動かず、鷹の目のような視線だけが鋭い。レオンの腹心のひとりだ。

西川星奈は冷たく口角を上げた。勝者の光が、瞳の奥でちらつく。

「……すぐよ。この世から『西川星奈』は消える」

振り返りもしない。まっすぐタラップを上がる。

ハッチが...

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