第135章 子供は無事

救命処置室の前で、時間だけが一秒ずつ削れていった。

古川寒弥は壁にもたれたまま、ずるずると床へ滑り落ちている。白目は赤く充血し、まばたきすら忘れていた。文さんと周防一洋がその傍に張りつき、息をするのも苦しいほどの緊張が廊下に澱んでいる。

やがて――処置室の表示灯が、ふっと消えた。

冷たい金属の扉が開く。

古川寒弥は弾かれたように立ち上がった。勢いが強すぎて視界がぐらりと暗くなる。それでも足をもつれさせながら医師の前へ突っ込んだ。

「先生! 妻は……!」

医師は、目の前の男のやつれ切った顔を見て、ほんの一瞬だけ複雑な色を瞳に走らせた。深く息を吸い、重く、ゆっくりと言葉を選ぶ。

「...

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