第139章 報いか?

秋の最初の雨は、骨の隙間にまで染み込むような冷たさを連れてきた。

仁和病院、救命処置室の外廊下。照明は惨白で、世界から色だけが抜け落ちたみたいだった。

古川寒弥は長椅子に崩れ落ち、両手で頭を抱え込む。商いの世界でなら、いくらでも風向きを変えてきた。翻せば雲、覆せば雨――そんな人生だったはずだ。なのに今だけは、どう足掻いても届かない。取り返しがつかない。

最近の彼は、まるでこの扉の前の常連になってしまった。

ここで彼は、須藤寧音の出産を焦げるような思いで待った。痛みに歪む手で『子宮摘出同意書』に署名もした。ついこの間だって、血の繋がった命を失う絶望を味わったばかりだ。

そして今――ま...

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