第149章 古川寒弥はまた彼女に条件を出す

【――当時、君の父親のそばにいた秘書の江口おじさんを見つけた。会いに来い。古川寒弥】

江口おじさん――!

父の須藤隆邦が転落死した直後、不可解に姿を消し、まるでこの世から蒸発したかのように行方不明になった、あの江口おじさん。

父が最も信頼していた人物であり、須藤グループの資金繰りが破綻した「本当の理由」を知っているかもしれない唯一の人間。

そして、父が公金を横領したわけでも、罪を恐れて自ら命を絶ったわけでもないと証明できる――唯一の証人。

五年前。須藤寧音はありとあらゆる伝手を使い、探偵まで雇った。それでも江口おじさんの影ひとつ掴めなかった。

一時は、もうこの世にいないのではとさ...

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