第20章 一つの策略

 

創世紀グループ本社。古川寒弥の執務室。

「仁音法律事務所」からの内容証明が一通、秘書を介して机の上に置かれた。

手触りのいい上質なアイボリーの封筒。金の箔押しで事務所のロゴが入っている。

古川寒弥は封を切った。

中に入っていたのは、宮本仁の直筆署名が入った書面。

文言は厳密で、構成も明快だった。

要点はただひとつ。――三日以内に、須藤寧音との離婚について正式に協議に応じろ。

そして末尾には、数十ページに及ぶ財産目録が添付されていた。

結婚から三年間の、婚姻期間中の共有財産が、一本の線も狂いなく並べ立てられている。

宮本仁は文書の中で明確に述べていた。

婚姻法に基づき、...

ログインして続きを読む