第27章 炎の中の氷

 

立花徹との二度目の打ち合わせは、初回以上にすんなり進んだ。

ハリウッド屈指の名プロデューサーと称される男だというのに、驕りも、妙な威圧感もない。

プロとして徹底していて、厳密で、声という表現に対しては執念に近い情熱を持っている。

そして何より――彼は、須藤寧音のことをわかっていた。

翌朝。立花徹は、さらに緻密に起こした脚本と絵コンテを携え、約束どおり須藤寧音のスタジオを訪れた。

小さな応接室。ブラインドの隙間から差し込む陽射しが、カーペットの上に斑の光を落とす。

空気には、ほのかなコーヒーの香り。

余計な挨拶はない。すぐに仕事へ入った。

「ヒロインの『蓮』の感情の層につい...

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