第42章 通報

 

重く冷たいトロフィーが、須藤寧音の頭蓋を叩き割ろうとした、その刹那。

生存本能が、彼女の身体の底から最後の力を引きずり出した。

――首を、全力で捻る。

「ガンッ――!!!」

耳の奥が痺れるほど、鈍く硬い衝撃音。

トロフィーの鋭い角が須藤寧音のこめかみをかすめ、彼女の耳元の冷たい大理石の床へ叩きつけられた。

ミシ、と床が悲鳴を上げ、次の瞬間――ぱきり。

亀裂が蜘蛛の巣のように走り、白い石肌を裂いていく。

もし直撃していたら。

脳漿が飛び散り、顔も形も残らない。そんな結末が、容易に想像できた。

須藤豪也は反作用で手が痺れ、思わずよろめいて一歩退いた。

床に転がる、死の一...

ログインして続きを読む