第43章 この手術は私が必ずやらなければならない

 

星市第一病院、救急棟の正面。

甲高いブレーキ音が、午後の静けさを真っ二つに裂いた。

ドアが乱暴に押し開けられる。

立花徹――いつもなら穏やかに笑みを湛える整った顔が、いまは見たこともないほどの狼狽に塗りつぶされていた。

エンジンすら切らないまま後部座席へ回り込み、すでに意識を失っている女を、壊れ物を扱うように横抱きにする。

「先生! 先生――!!」

須藤寧音を抱え、狂ったように救急外来の入口へ駆け込んだ。

腕の中の身体は、羽根みたいに軽い。

アイボリーのトレンチコートは血でぐっしょり濡れ、白い頬を伝った赤が、立花の高価なスーツへぽたぽたと落ちる。

「急いで! 頭部外傷、...

ログインして続きを読む