第47章:なぜ私を誤導するのか

 

須藤寧音は冷たい壁に背を預けたまま、通話中のスマホを強く握りしめていた。力という力を吸い取られたみたいに、今にも崩れ落ちそうだ。

受話口の向こうから、須藤豪の吐き気がするような下卑た笑いが響く。

「おいおい。妹様じゃねぇか。どうした? ついにお兄ちゃんに電話してきたか?」

「……血が必要なの」

目を閉じたまま、寧音は言葉を絞り出す。ひとつひとつが、誇りごと削り取られていくみたいだった。

「人を助けたい」

「助ける?」豪はさらに笑い声を大きくした。「須藤寧音、おまえ頭どうかしたのか? 俺が代わりに救いに行くって? なんで? 俺に何の得がある」

「お金を出す」

「金?」声音が...

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