第62章 本当に二股をかけているのか?

古川寒弥は、自分が今にも狂ってしまいそうだと思った。

額の傷はじくじく疼いている。だがそんな痛みなど、胸の奥を何度も薄刃で削がれるような焦燥に比べれば、取るに足らない。

立田部長のほうが結果を出すのは、最短でも一時間後。

その一時間が、彼には一世紀みたいに長い。脳裏に浮かぶのは、須藤寧音の嘲るような冷笑――かと思えば、かつて彼のために手を洗い、台所に立ち、湯気の向こうで穏やかに笑っていた横顔。

相反する二つの映像が、頭の中で狂ったように引き裂き合い、理性ごと裂けそうになる。

「ギィ……」

病室のドアが外から押し開けられた。入ってきたのは、幼なじみの北野言志だった。

片手に果物籠...

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