第77章 どうしてそんなに薄情なんだ

須藤寧音は、どれほど長いあいだスタジオの冷たい床に座り込んでいたのか、自分でもわからなかった。

窓の外の夜は、どろりと濃い墨色から、いつしか明け方前の青灰色へと滲みはじめている。

寧音は自嘲気味に笑った。彼が心の奥底で何を思っていようと、もうそんなことはどうでもよかった。

西川星奈に何かあれば、あの人は迷いなくそちらへ駆けつける。結婚して三年――その事実だけは、一度だって変わらなかった。

ぶるる、とスマホがまた震え、果てのない思考の底から彼女を引き戻した。

古川寒弥からだと思い、胸がひゅっと強張る。だが画面に表示されていたのは、スイス国内の見知らぬ番号だった。

須藤寧音は眉を寄せ...

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