第87章 古川辰が須藤寧音のために用意した贈り物

メッセージを送信した途端、須藤寧音はかえって奇妙なほど落ち着いていた。

暗闇の中に、静かに座る。

手札の最後の切り札は、もう切った。

この先、勝つか負けるかは――天に委ねるしかない。

その夜、彼女はほとんど眠れなかった。

空が白みはじめたころ、ようやく立花徹から電話が入る。

須藤寧音は深く息を吸ってから、通話を繋いだ。

「寧音」

立花徹の声は疲労と挫折で擦り切れていた。

「悪い。できる限り動いた。でも……ダメだった」

「……どういうこと?」

胸の底が、じわじわと沈んでいく。

「連絡できる限りの海外大手メディアに当たった。ロイターからAP、それにヨーロッパのゴシップ紙ま...

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