第9章 意外な命

 

去るとき、須藤寧音は誰にも知らせなかった。

市の中心部にある、ごく普通のホテルに身を落ち着ける。

窓の外では車の流れが途切れず、ネオンがちらつき、街は派手に騒いでいる。

けれど、そのすべては彼女と無関係だった。

寧音は窓辺の絨毯に座り込み、膝を抱えたまま夜景を見つめる。

静かに、ただ静かに。

一睡もできないまま、夜が明けた。

朝の光が差した瞬間、決めた。

この子は、残せない。

この子は――寧音と古川寒弥を結びつける、最後の鎖だ。

子どもがいる限り、あの痛い結婚から、本当の意味で抜け出せない。

過去に縛られ続ける。

嫌だ。

三年も人生を壊された。

これ以上、一生...

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