第93章 古川さんからのサプライズ

須藤寧音の崩壊と昏睡は、この強制旅行に一時停止のボタンを押したかのようだった。

翌朝。目を覚ました彼女の熱は下がっていた。身体の力はまだ抜けたままで、顔色も青白い。それでも表面だけは、妙に静かだった。

一行はホテルの、ネパールらしい趣のある中庭レストランで朝食をとる。

朝の光が、精緻な木彫りの格子窓を透けて差し込み、テーブルの上にまだらな影を落とした。

空気は、ヒマラヤの稜線に積もる雪のように冷え切っている。

須藤寧音は機械のように食べ物を口へ運び、焦点の合わない目で虚空を見ていた。周囲のすべてが、自分とは無関係だと言わんばかりに。

隣には小寺蘭。向かいの男を、いつでも噛みつける...

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