第94章 最も息苦しい別れ

重厚な防音扉が背後で閉まり、外の光も音も、完全に遮断された。

須藤寧音は一瞬で、手探りすら利かない闇へと落ちる。

胸騒ぎを誘う虚無。聞こえるのは、自分の鼓動がどんどん速くなる音と、隣にいる小寺蘭の張り詰めた呼吸だけだった。

「須藤嬢、小寺嬢。右手側の肘掛けにヘッドホンがありますので、装着してください」

男の声がスピーカー越しに響く。

小寺蘭が手探りで須藤寧音の分まで見つけ、ずしりと重いヘッドホンを渡してくれた。須藤寧音は言われるままに装着する。耳をぴたりと覆い、さっきまで聞こえていた自分の心臓の音すら消えた。

世界が、絶対の無音へ沈む。

この静けさに狂ってしまう――そう思った瞬...

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