第95章 古川寒弥が彼女に贈ったもの

古川寒弥は、生気の抜けた須藤寧音を抱えたまま、スタジオを大股で飛び出した。

眩い陽射しが目を刺す。彼は反射的に身をひるがえし、彼女に光が当たらないよう庇おうとする。だがその仕草には、本人すら覚えのない焦りが滲んでいた。

坂東成がすでに車を回している。古川寒弥はドアを引き、寧音を乗せようとした――その瞬間。

小寺蘭が猛然と駆け寄り、両腕を広げてドアの前に立ちはだかった。

「病院はダメ!」

喉が裂けるほどの叫び。

古川寒弥の動きが止まる。顔色が一気に沈み、瞳の冷気が刃のように鋭くなる。

「どけ」

「どかない!」小寺蘭は一歩も退かず、彼を睨み据えた。「この子は病院に行けない。絶対に...

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