第106章

「おいおいおい、怒んなって。言う、言うからさ」

美月が本気でキレると察したファングは、両手をぱっと上げて即座に降参した。さっきまでの軽口が消え、目つきだけが妙に真面目になる。

「これな……おまえの“出来のいい三兄貴”――拓海が絡んでる」

「拓海?」

美月の瞳が、すっと冷えた。

「そう、そいつ」ファングはうなずく。「先月さ、あいつ何を思ったのか、中東の戦区に突っ込んだんだよ」

美月は言葉を失って、次の瞬間、眉をひそめた。

「……何しに行ったの。死にたいの?」

「知るかよ。金持ちの退屈病だろ。刺激が欲しかったんじゃねえの」

ファングは肩をすくめ、鼻で笑った。

「丸々100万ド...

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