第110章

耳を塞ぎたくなる罵声が、ひとつ、またひとつと鼓膜をえぐってくる。拓真は拳をぎゅっと握りしめた。

屈辱。

こんな扱いを受けたことが、今まで一度でもあったか?

昔なら、誰がこんな口を利けた?

それが今じゃ、野良犬みたいな連中にまで頭の上で用を足される始末だ。

「てめぇら、全員黙れ!」

しゃがれた声が飛んだ。

監房が、すっと静まり返る。

ボスだ。通称・虎松。傷害で入ってきて十年食らっている、この房の中じゃ絶対の存在。

ネズミの笑いが一瞬で凍りつき、振り向いた途端、媚びた笑顔を貼りつける。

「虎松さん、起きてたんすか。いや、こいつとちょっと遊んでただけで――」

「遊び? ふざけ...

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