第51章

湊は一瞬きょとんとしたが、すぐに察した。

顔つきがわずかに引き締まり、足音を殺して階段口の死角へと身を退く。

美月は深く息を吸い、そっとドアロックをひねった。

扉は押さない。身体を壁に沿わせ、横に張りつく。

そして次の瞬間――影が滑るように、音もなく室内へ入り込んだ。

玄関の暗がりに、案の定ひとり潜んでいた。

美月がここまで速いとは思っていなかったのだろう。男が振り向こうとした刹那、うなじに鈍い衝撃が叩き込まれる。

美月の手刀は速く、そして容赦がない。狙いは正確に頸動脈。

男は「ぐっ」と喉を詰まらせ、拳銃を上げるより早く、手首を取られた。

ひねり上げられ、関節が外れる鈍い感...

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