第56章
拓真は車椅子に座ったまま、まわりの声などまるで耳に入っていないようだった。
廊下の突き当たりにある、病的なほど白い壁を見つめるその目からは、少しずつ光が失われていく。
修一は廊下に立ち、眉間に深い皺を刻んでいた。
本来なら、客観的な証拠はどれもこれも、拓真には犯行に及ぶ条件がなかったことを示している。
なのに当の本人だけが、あれは自分の雇った人間だと言い張った。口調は激しく、むき出しの憎悪まで隠そうとしない。
おまけに犯行の動機まで、妙に筋が通っていた。
捜査を長くやっていれば、こういう自分から罪をかぶるケースに出くわすこともある。たいていは、身内をかばうためだ。
修一は少し離...
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