第64章

美咲はこらえきれず口元をつり上げ、瞳の奥に毒のある笑みを走らせた。

美月にも、ついに今日が来た。

本当に精神病院へ放り込めたら、もう私と張り合えるはずがない。

そうなれば、湊は――私のもの。

一ノ瀬家だって、結局は私のもの。

考えれば考えるほど愉快で、美咲は危うく声を立てて笑いそうになった。

そのとき、書斎の扉が開いた。

美咲はびくりと肩を跳ねさせ、とっさに身を隠そうとしたが――もう遅い。

先頭で出てきた隼人が、扉の近くに立つ美咲を一目で捉えた。

視線がぶつかる。

隼人の表情が、瞬時に沈んだ。

「ここで何してる」噛み殺した声。目つきは陰湿に冷たい。「どれだけ聞いてた?」...

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