第66章

美月は俯き、自分の手首へ視線を落とした。

いつの間にか、そこに巻かれていたブレスレットは深い暗紅色へと変わっている。

――喜愛値、2万。

美月には分かっていた。

2万もあれば、しばらくは持つ。

当面、命の心配はしなくていい。

胸の奥の張りが、すっとほどけた。

……感情のことは。

それは、また今度でいい。

翌朝。

空がまだ白みきらないうちから、美月は夢の底を叩き割るような激しいノックで叩き起こされた。

眉をひそめ、ベッドの上で上体を起こす。

――誰。

こんな朝っぱらから、何の用だ。

身のこなしには自信がある。深く考えもせず、寝間着のままドアへ向かった。

「どちらさ...

ログインして続きを読む