第80章

美月は指先でテーブルを、こつ、こつと軽く叩いた。瞳の奥に、ひやりとした光が走る。

――まだ、始まったばかり。

隼人、浩一、由利、美咲……。

自分を傷つけた連中は、ひとり残らず逃がさない。

スマホの画面を見つめ、美月は口元だけで冷たく笑った。

見せ場は――これからだ。

美咲は病院を出た瞬間から、胸の奥がざわついていた。

父はあれだけ怒りで倒れ、隼人は隼人で、とんでもない醜聞をぶちまけた。一ノ瀬家は今、ぐちゃぐちゃだ。

ため息をひとつ落とし、駐車場へ向かおうとした――そのとき。

病院の正面を抜けたところで、美咲の足がぴたりと止まった。

少し離れた木陰に、ひとりの女が立っ...

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