第81章

美咲は胸の奥で煮えたぎる怒りを押し込み、浩一にもうしばらく付き合って話をした。

「お父さん、じゃあ私は先に帰るね。ちゃんと休んで」

「うん、行ってこい」浩一はひらりと手を振る。

美咲は身を翻し、病室を出た。

ドアを閉めた瞬間――顔に貼りつけていた笑みが、すっと消える。

代わりに浮かんだのは、氷みたいな冷たさだった。

病室の中で、浩一は閉ざされた扉を見つめたまま、眉間に深い皺を刻む。

美月……。

いったい、何をするつもりなんだ。

美咲は廊下を進むにつれ、表情をどんどん沈めていく。

角まで来たところで足を止め、壁に背を預けた。

「……ふん」

喉の奥で、冷たい笑いが漏れる。...

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