第82章

「……待って」

美咲の瞳が、ふっと光を帯びた。

――どうして今まで思いつかなかったんだろう。

隼人と美月が潰し合って、最後に共倒れになればいい。

そうなったら、一ノ瀬家の財産は――全部、私のもの。

……いや、隼人だけじゃない。

拓真、拓海。それに浩一と由利も。

もし、みんな死んだら……。

美咲の鼓動が一気に速くなる。

一ノ瀬家の人間が全員いなくなれば、一ノ瀬家の“すべて”が私のものになる。

そのとき私は、一ノ瀬家で唯一の相続人だ。

考えれば考えるほど胸が高鳴り、目の奥が熱くなっていく。

――そう。これでいい。

美月を利用する。あの子に一ノ瀬家の人間を始末させる。

...

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