第83章

「知らないなら、それでいいわ」

彩は淡々と言い捨て、踵を返して立ち去ろうとした。

「ちょ、待って!」

美咲が慌てて前に回り込み、進路を塞ぐ。

「中村先生、行かないでくださいよ」

彩は足を止め、美咲を見た。眉間にうっすら皺が寄る。

「まだ何か?」

「中村先生、美月と仲いいんですよね。美月がどこにいるか、知ってるでしょ?」

美咲は探るように彩を見つめる。

「教えてくださいよ。ちょっと用があるんです」

「今は勤務中よ」

彩の声は平坦だった。

「私用の話はしない」

「勤務中が何ですか?」

美咲が露骨に不満そうな顔になる。

「ちょっと聞くだけじゃないですか。そんなに時間取...

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