第84章

「え……?」彩は目を見開いた。「隼人を、切り捨てるってこと?」

「だって……あの人、一ノ瀬家の長男だよ……」

「長男だから何?」美月は鼻で笑った。「隼人はもう身の破滅。しかも片方、潰れてる。浩一にとっては――もう使い道がないの」

「置いとけば置いとくほど、恥をさらすだけ」

「浩一って人はね、利益と体面がいちばん大事なの」

「今の隼人は、浩一の顔に泥を塗る存在でしかない」

「だから、さっさと消えてほしいのよ」

彩は言葉を失った。

――そこまで、やる?

相手は実の息子だ。なのに。

「じゃあ……隼人に、美月が出てきたことを知らせないのは……」彩は恐る恐る口を開く。

「隼人を始...

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