第86章

ここは――やっぱり、すでに封鎖されていた。

門には封印のテープ。庭には雑草が伸び放題で、長いあいだ誰も足を踏み入れていないのが一目で分かる。

美月は周囲をさっと見回し、巡回の警備員がいないことを確かめてから、塀を越えて敷地内へ滑り込んだ。

草むらに身を落とし、庭の様子を丹念に観察する。

ふと、視線が一点で止まった。

植え込みのそばの芝生。そこだけ色がわずかに濃く、縁には人の手が入ったような乱れがある。

美月の唇が、かすかに吊り上がった。

――見つけた。

音も立てずに近づき、しゃがみ込む。指先で芝を撫でると、感触が違う。

やっぱり、偽物だ。

美月は芝をそっとめくり上げた。下...

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