第89章

源一は狂ったように掴みかかり、引っかき、暴れ回った。信じられないほどの怪力だ。

数人の警備員が総がかりになって、ようやく床に押さえつける。

「先生! 押さえきれません! 力が強すぎる!」警備員の一人が叫んだ。

医師は眉をひそめ、傍らの看護師に言う。

「鎮静剤を! 早く!」

看護師が慌ててシリンジを差し出す。医師はしゃがみ込み、狙いを定めて針を突き立てた。

鎮静剤がゆっくり体内へ押し込まれていく。だが源一の抵抗はすぐには止まらない。身体をのたうち回らせ、口からは「幽霊がいる」「来るな、探すな」と意味の通らない言葉が途切れなく飛び出した。

「どうして……? 効いてないんですか?」看...

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