第95章

源一は牢の中をぐるぐる歩き回り、焦りで頭が煮えそうになっていた。――そのとき、脳裏にぱっと火花が散る。

精神病。

そうだ。狂ったフリをすればいい。

法律だって、精神疾患の発作中に起こした犯罪は刑事責任を問わない、みたいなことを言っているじゃないか。自分が発狂したように見せかければ、裁判で有罪にできない。精神病院へ送られたら、あとは抜け出す手を考えればいい――それで全部、チャラだ。

思えば思うほど筋が通る。源一は興奮で、今にも跳ね上がりそうになった。

だが次の瞬間、脳裏に突き刺さったのは、黒崎美奈が突きつけてきた精神鑑定書だった。あの、氷みたいに冷えた顔。

源一は一気に血が逆流し、...

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