第96章

久美は椅子にどさりと腰を落とし、怒りで胸を上下させた。

「せっかく親切に、あの子に蓮の従兄さんを紹介してあげたのに、ボディガードに私をつまみ出させたのよ! 恩知らずにもほどがある! 何様のつもり!」

蓮の顔がすっと沈む。手にしていた書類をベッドサイドの棚へ放り投げた。

「母さん、何言ってんだよ」

声が冷える。

「従兄貴がどんな人間か分かってて、どうして黒崎美奈に紹介できるんだ」

久美は一瞬きょとんとして、傷ついたように息子を見上げた。

「従兄さんがどうしたっていうの? どこが悪いのよ。見た目だっていいし、仕事も安定してるじゃない。黒崎美奈に釣り合わないって、どういうこと?」

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