第97章

「……母さん」

蓮の声が、唐突に落ちた。

久美はびくりと肩を跳ねさせ、勢いよく顔を上げて蓮を見る。

蓮は久美を見つめた。複雑な色の滲む目。震える声で言いかける。

「従妹が……まさか――」

「黙りなさい!」

久美は尻尾を踏まれた猫みたいに甲高く叫んだ。

「その子は関係ない!」

「勝手に田舎へ帰っただけよ! 変なこと言わないで!」

興奮したまま立ち上がり、顔つきがみるみる歪む。

その姿を見た瞬間、蓮の胸に残っていた最後の希望が、すうっと消えた。

目を閉じ、長い溜息を吐く。

――もう、答えは出ている。

母は、以前は知らなかったとしても、今なら気づいているはずだ。

ただ、...

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