第67章

口づけが終わると、二人の瞳はしっとりと潤んでいた。

 千凪は微かに息を切らしながら、光弘の胸を押し返した。光弘は瞳に笑みを浮かべ、キスの余韻で頬を紅潮させた千凪を見つめている。

 千凪はまだ心の整理がつかず、光弘が再び求めてくるのではないかという不安と、どう振る舞えばいいのか分からない戸惑いから、それ以上展覧会を見て回ることもなく、逃げるように帰宅した。

 午後、光弘が会議のために会社へ向かうと、家で手持ち無沙汰にしていた千凪のもとに紗耶から連絡が入った。

 買い物に行こうという誘いに、千凪は快く応じた。

 待ち合わせ場所で会うなり、紗耶はいつものように千凪を強く抱きしめた。

「...

ログインして続きを読む