第77章

光弘はそこでようやく動きを止めた。

「紗耶から聞いたか?」

「ええ。彼女の口ぶりだと、お母様は一筋縄ではいかない方のようね。……だから少し心配で。せめてデザインの初稿だけでも完璧に仕上げて、いい印象を残したいの」

 光弘は千凪を抱き寄せ、自らの太股の上に跨がらせた。

「彼女は厳しいだけだ。君の実力なら必ず認められる。だからこそ、今回の新統括に彼女を選んだんだ」

 千凪は光弘の逞しい胸に身を預け、力強い鼓動を聞きながら無上の安心感に包まれていた。

 結局、光弘は千凪の熱意に負け、彼女が納得するまでデザインの修正に付き合うことになった。

 すべての作業を終えた頃には、時計の針は午前...

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