第83章

 晴斗は手にしたシャンパングラスを疑わしげに見つめた。

「また何を企んでいるんだ。ここは晩餐会の会場だぞ」

「何を言っているの。私が何を企むというのよ。いくら私でも、こんな場所で馬鹿な真似はしないわ」

 真理子は呆れたように言った。

「ただ、あなたと光弘の仲を取り持ちたいだけよ。私たちが原因で、あなたまで彼に恨まれたくないもの。どうしてママの親心が分からないのかしら!」

「兄貴に後ろめたいことをしてなけりゃ、俺が仲を取り持つ必要なんてないだろうに」

 結局、真理子の説得に折れ、晴斗は二つのグラスを手に光弘のもとへ歩み寄った。

 ちょうど曲が終わり、光弘は晴斗が差し出した酒を一瞥...

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