第84章

千凪はそのまま休憩室の方へと足を向けた。すると、廊下の突き当たりにある一室の前に、黒山の人だかりができているのが見えた。

 その中には見知った顔も混じっている。義昌や真理子たちの姿があった。

 千凪は極力気配を消し、人波をかき分けるようにして、恐る恐る前方へと進んだ。

 視線の先では、ウェイターがドアを開けようとしており、その横で豪奢なドレスを身にまとった婦人が、何やら焦った様子で彼を急かしている。

 一体何が起きているのか、千凪には皆目見当がつかなかった。

 やがてドアが開け放たれると、千凪は背後からの圧力に押され、なし崩し的に部屋の中へと押し込まれてしまった。

 室内は薄暗く...

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