第108章

清宮紬は昼食を脇へ押しやった。

「榊原冬真、ちょっと聞いて」

「言え」

「岩崎家が訴えてるのは、私ひとりじゃない。叔母さんの遺言そのものよ」紬は言った。「あなたが今日、弁護士事務所を押さえ込んでも、明日には別の小さな事務所を見つけてまた訴える。明後日にはメディアに泣きついて、次の日にはY市じゅうでこう言われる。『清宮紬は榊原家の力で人を黙らせて、遺言の検証すらさせない』って」

榊原冬真が眉をひそめる。

「メディアなら、俺が処理できる」

「一度目はね。でも二度目は無理」紬は淡々と返した。「叔母さんの遺言は、手続きも証拠も完璧で、証明もきれいに繋がってる。私がいちばん怖くないのは、法...

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